知らないと損!住宅を買い替えたときの特例とは

0
5026
家

目次

この記事はこれから住宅を買い替えようと思っている人たちに向けて、知ってお得な税金の特例についてまとめた記事です。住宅を買い替えると、利益が出ても損が出ても税金を節税できる特例があります。

買い替えの特例を上手く利用しよう

女性 内覧 チェック

増えつつある住宅の買い替え

住宅の購入が一生に一度の体験ではなくなりつつあります。現在は中古の住宅市場も拡大してきており、住宅も売りやすくなってきました。そのため、一生の間に二度三度、住宅の買い替えを繰り返し、よりグレードの高い住宅へと住み替える人達も増えています。

個人が住宅を売却した時は譲渡所得に対する所得税が発生します。この住宅を売却した際の所得税にはいくつかの特例があります。そこで今回は住宅を買い替えた時に使える特例について、詳しく見ていきましょう。

住宅を買い替えたときの特例

住宅

利益が出ても損が出ても特例がある

住宅(居住用財産)を買い替えた場合には特例があります。この特例の考え方には大きく2つあります。

  • 売却して利益が出てしまった場合に、そこに係る税金そのものを軽くしてくれる特例
  • 売却して赤字になってしまった場合に、他の利益が出ている収入と合算することで全体の税金を軽くしてくれる特例

住宅を買い替えた場合、利益が出ても税金の軽減措置があり、赤字がでても税金の軽減措置があることが特徴です。

課税はあくまで利益に対してかかる

はじめに、住宅を買い替えた場合、利益や赤字という話をしましたが、税金は売却「額」ではなく売却「益」にかかるという認識をしておく必要があります。つまり元々持っていた住宅の価格は商品で言えば仕入値であり、仕入値よりも高く売れれば利益となり、仕入値よりも安くしか売れなければ赤字という考え方をします。

例えば3,000万円の住宅が4,000万円で売れれば譲渡所得は1,000万円となり、2,000万円でしか売れなければ損失額が▲1,000万円となります。

(A)利益が出た場合

住宅

特定の居住用財産の買換え特例とは

まず住宅を買い替えた時、利益が出た場合の特例を解説します。一般に、「特定の居住用財産の買換え特例」と言われます。これは譲渡した年の1月1日において所有期間が10年超で、居住期間が10年以上の住宅を売却して、新たに住宅を購入した場合に、課税の繰延が受けられる特例です。

課税の繰延とは、聞きなれない言葉ですが、元々の住宅を売却した時点では課税はされず、買い替えた住宅を次に売却する時に遡って課税されるということを言います。

どんな効果があるか

例えば、これから売ろうと思っている住宅が、取得した金額が2,000万円で、売却できる価格が4,000万円だったとします。さらに買い替えによって購入する住宅の価格が3,000万円だとします。買い替え時の収入金額は(売却金額4,000万円)-(購入金額3,000万円)=1,000万円となります。本来であれば、この(収入金額1,000万円)が買い替えによる課税の対象となります。

ところが買い替えの特例を使うと、(収入金額1,000万円)から次の式で求められる(取得費および譲渡費用)を引くことができます。

(取得費および譲渡費用)=(譲渡資産の取得費2,000万円+譲渡費用)×(収入金額1,000万円)÷(譲渡資産の売却代金4,000万円)

ここで簡略化のためにとりあえず上式の譲渡費用をゼロとすると、(取得費および譲渡費用)は以下のようになります。

(取得費および譲渡費用)=2,000万円×1,000万円÷4,000万円=500万円

この(取得費および譲渡費用)の500万円が(収入金額1,000万円)から控除できます。つまり最終的な課税長期譲渡所得金額は以下のようになります。

(課税長期譲渡所得金額)=(収入金額1,000万円)-(取得費および譲渡費用500万円)=500万円

あくまで繰延をしているだけ

この特例を使うことによって、買い替え時の譲渡所得が1,000万円から500万円となります。ただし、1点注意事項があります。この特例は、あくまで買い替え時に本来支払うべき税金が圧縮しただけであり、買い替えた資産を次に売却する際はもとの分まで遡って課税されることになります。買い替えた住宅をすぐに売却する予定であれば適用しない方が良い場合もあります。

関連記事

(B)損失が出た場合

住宅

居住用財産の買換えに係る譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例とは

次に住宅を買い替えた時、赤字が出た場合の特例を解説します。一般に、「居住用財産の買換えに係る譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例」と言われます。これは譲渡した年の1月1日において所有期間が5年超の住宅を譲渡して、譲渡損失が生じた場合に、買換えを前提としてその譲渡した年に控除しきれない損失が3年間にわたって繰越控除できます。

損益通算で節税が出来る

赤字が出た場合、まずは給与所得や雑所得などの他の所得と合算して損益通算をすることができます。損益通算とは給与所得などと一緒に確定申告を行うことで、給与所得のプラスから住宅の買い替えで発生したマイナスを差し引ける制度です。課税される所得を少なくすることが可能なため節税になります。

さらにこの制度では、1回で譲渡損失を損益通算してもまだ控除しきれない赤字がある場合は、その残額を翌年から3年間繰り越すことが可能になります。大損を出して売却した場合は、その後3年に渡って節税できる仕組みです。

まとめ

賃貸

売る住宅が特例の要件を満たしているか

以上、住宅の買い替え時の特例について見てきました。

まずはこれから売る住宅が特例の要件を満たしているかどうかを確認することが第一歩です。適用できそうであれば、後は税理士さんなどの専門家に相談してみましょう。

関連記事