資産価値があるうちにマンションを売却したい人も多いですよね。まともな値段で売れるのなら、買い換えることも可能でしょう。しかし、一般的には築年数と共に、資産価値はどんどん下がってしまうもの。それならば、資産価値が下がらないうちに売ってしまうのが得策かもしれません。

ここでは、不動産鑑定士がマンションの資産価値について詳しく解説をします。

マンションを売りたい人の疑問に答えます!

不動産鑑定士がお住まいの売り時を解説します

マンション

東京オリンピック開催前の開発ラッシュを背景に、東京都23区の都心部である港区周辺はハイグレードなマンションが売れています。そのハイグレードマンションはオリンピック後に資産価値があるのでしょうか?

バブル期に建設が計画された昭和62年から平成2年、3年前後のハイグレードマンションは既に築25年を超えています。マンションも戸建と同じ建物ですから経年減価で古くなればなるほど資産価値がおちます。

  • 「マンションは築何年頃までに売却すれば価値が落ちないまま売れるのか?」
  • 「マンションの築年数と資産価値の関係はどうなっているのか?」
  • 「いつまでにマンションは売り切った方が得なんだろう?」

様々な疑問をお持ちの方がいますね。

マンションは一戸建の建物と違い、鉄筋コンクリート造(RC造)か鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC造)の堅固な建物の一部分で、木造家屋より丈夫で長持ちします。間取りや規模、階数、立地条件などによって資産価値も変わってきます。

ではマンションの築年数と資産価値の関係を中心に、いつまで売却するのがいいのかを不動産鑑定士が詳しくお話します。

築年数と資産価値の関係を解説

資産価値には2つの側面がある

マンションの資産価値というと「売却価格」=「いくらで売れるか?」と思う方がほとんどではないでしょうか?

ところがマンションという「資産価値」は単純に「売れた金額=リセールバリュー」だけではなく、「資産」として運用する場合の「賃貸にして貸し出して入ってくる家賃収入」と2つの側面があります。一方が値下がりしても、もう片方も値下がりするとは限りません。そのため、この2つの側面は別々に考えていく必要があります。

マンションを所有するにあたって「貸す」ことまで視野に入れてみている方は少ないと思います。マンションをこれから買う方は「売りやすい」観点だけでなく「貸しやすい」「借り手がある」観点からも物件を検討してください。

資産価値を考えながらマンションを購入する方法は、当該するマンションがある場所の同じ間取りの賃貸物件の相場を調べること。「〇〇駅 賃貸 3LDK 徒歩〇分」などで検索すれば、その土地の相場が出てきます。

相場が分かれば「貸すとすればいくらで貸せるか?」と想定することもできますし、賃貸から得られる自分の収益も見えてきます。賃貸が比較的高いエリアなら、売るより貸す方が、長い目で見た時により大きな利益が上がることもあるでしょう。

不動産は築年数より立地が重要

六本木

そもそもなのですが、家の中はリノベーションできてもご近所や立地はリフォームできません。不動産の価値は立地が大きく左右します。

港区には1970年代に建てられて今も1億円で売却されるマンションもあります。一方で地方では売る側が解体費を渡して引き取ってもらうマイナスの価値の物件まであります。

東京や大阪といった都会だとしても駅から徒歩5分圏内と10分圏内では取引価格は異なります。ライフスタイルが変わり、駅から離れた駐車場付きの家より、駅近の駐車場のないマンションの方が人気なのです。

近所に小学校があればファミリー層が買うかもしれませんが、近年は都会でも小学校の統廃合が進んでおりその学校が無くなる可能性もあります。そうなると、そこの近くの不動産は人気が落ちるでしょう。

中古マンションの耐用年数は何年?

しつこくて恐縮ですが、マンションは一戸建て住宅よりも丈夫です。分譲マンションは鉄筋コンクリート造(RC造)と鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC造)で作られている……これが大きなポイントで、耐久性という意味ではマンションの資産価値は一戸建て住宅よりも高いことのほうが多いのです。

ではマンションの耐用年数は何年あるのでしょうか?

この耐用年数も「法定耐用年数」と「物理的耐用年数」の2つの側面から判断するべきと考えられています。

「法定耐用年数」とは

「法定耐用年数」は税金の減価償却計算等で使われる耐用年数です。法定耐用年数も建物の「躯体」と「設備」とで耐用年数が分かれていますが、設備等の詳細は省略します。

国税庁HPの通りマンションはSRC造・RC造なので、躯体の耐用年数は「居住用」が47年です。

 (参考)国税庁HP

ただし47年でマンションが壊れると言っているわけではありません。あくまで税金計算上は「47年で償却」とされているだけです。つまり、築47年以内のマンションには、それぞれ資産価値があるという意味でもあります。

「物理的耐用年数」とは

中古マンション、相続、空き家、修繕

「物理的耐用年数」は文字通り「マンションが物理的に何年間使用できるのか」と考えていいでしょう。一般的にマンションは建築された年度にもよりますが、最新の耐震設計のマンションを前提とすれは、約100年前後は持つはずなのです。ヨーロッパのドイツやイギリスなど、石造りの古い街並みが100年以上残っていることを考えれば理解できると思います。

表参道ヒルズの横にある同潤館は1927年(大正12年)に立てられた青山同潤館アパートの一部で今も現役。東京空襲でも残った歴史的にも貴重な建造物です。

しかし、日本はもともと木造建築が中心でした。今のようなマンションが盛んに建築され始めたのは、前回の東京オリンピックが行われた昭和39年(1964年)以降からです。

1970年に時代の最先端だったマンションは今年2017年で建築後47年です。もし物理的耐用年数が100年とすればまだ寿命は半分残っていることになりますが、実際の所そうではありません。

1981年より古い?新しい?耐震設計基準と資産価値の関係

,地震

日本は世界でも有数の地震国です。大きな地震が起きるたびにちょこちょこと「耐震基準」が更新されてきました。

1978年の宮城県沖地震で耐震基準が大きく改正され、1981年(昭和56年)の「新耐震基準」を境に中古マンションの価値が大きく分かれます

1970年代に立てられたマンションだから地震に弱いということは決してないのですが、新耐震基準より前(1981年以前)に建てられたマンションは耐震性に問題があるとして銀行の住宅ローンが利用できません。そのため、資産価値が極端に低くなる傾向があります。

耐震基準は、これまでに大きな地震が起きるたびに何度も改正がされてきましたが、耐震基準に満たないため耐震補強工事を行ったマンションは多くあります。

耐震偽装問題について

一時期「耐震偽装問題」が騒がれた事を覚えているでしょうか?

以前私が住んでいたこともあるエリア、八王子市南大沢の旧・住宅整備公団(現UR=住宅都市整備機構)分譲のマンション「ベルコリーヌ南大沢」の一角が突然建て替え工事を行いましたが、やはり耐震偽装問題から建て替えに至りました。

ほとんどが平成元年(1989年)の建築なのに、建築後10年目の検査で耐震設計上の欠陥が発見され、住民とURとの交渉を経て、なんと46棟中20棟が建て替えするという空前の大事件に発展しました。

一戸建のように自分一人で決めることはできませんし、マンションに住んでいる方の経済事情も異なりますから、建て替え決議を得ることも大変です。

物理的に100年は耐えられるはずのマンションが、耐震基準を満たさない理由により、わずか築10数年で建て替えられたのです。

もちろん、築年数が古くても管理がしっかりしている現役のマンションもたくさんあります。新しいマンションより贅沢に建材を使っていて丈夫な中古マンションもあるので1981年より前のマンションだから資産価値がないというわけではありません。しかし、マンション購入の際に資産価値を気にするのであれば、1つの目安として1981年より前か後かを覚えてください。

築年数を重ねれば設備の老朽化!大規模修繕工事の必要も

中古マンションを購入するときの注意点

建築年数が古いマンションは老朽化が進んでいるというイメージがあるでしょう。地震以外でもマンションは壊れます。

「空き家は3倍の速度で劣化する」

という話を聞いたことがないでしょうか?

湿度がある日本では気密性の高い鉄筋コンクリートマンションは換気をしないと劣化します。ベランダにたまった落ち葉が雨水を含んで腐り、そこからコンクリートにひびが入ることも。

もちろん、空き家問題以外にもマンションが劣化してしまう原因はいくつもあります。代表的なマンションの劣化原因を列挙すると以下のとおりです。

  • 屋上防止加工の劣化
  • 外壁の汚れ・亀裂・タイル剥がれ等
  • 鉄部の腐食
  • 受水槽の汚れ
  • 水道・ガス・排水管の劣化

築30年前後の中古マンションで水道の配管のメンテナンスを怠っていた中古マンションを扱ったことがあります。水道から赤い錆びた味のする水が出ました。浄水器をつけてもあれは困りますよね。

外壁の亀裂を放置しておくと、雨雪が隙間から侵入してしまうために、建物躯体の鉄筋まで錆が及んでしまいます。また屋上の塗装がボロボロになったマンションは最上階から雨漏りが発生します。

こうした劣化は、マンションの建築当時からある程度予見できますし、車と同じで「壊れる前に直してしまう」「取り替えてしまう」ことで、劣化を抑える事もできるでしょう。その修繕工事のために各専有部分の所有者から「大規模修繕費」を徴収し、ストックするわけです。「修繕積立金」という場合もありますがほぼ同じ意味です。

マンションの大規模修繕費は値上がりする?

大規模改修工事

一概には言えませんが築10~15年ごろを境にマンションの大規模修繕費は値上がりします。そのためこのあたりで売却する方もおります。

この大規模修繕工事は通常、マンションの管理組合が中心となって、マンションの劣化する箇所を、メンテナンスが必要なタイミングに計画的に行う長期的な修繕計画に基づき行います。部分的に破損した箇所をその都度「修繕」するのとは違い、前もって予算を見積もって大規模修繕費用を徴収、ストックしておくのです。

大規模修繕費用の滞納者がいると工事ができない

注意点

この大規模修繕工事は、そのマンションに複数の滞納者がいる場合、大規模修繕工事ができません。工事ができなければ劣化部分のメンテナンスもできず、そのまま腐食が進んで行きます。

築15年以上の中古マンションの資産価値において大事なのは修繕積立金が豊かかどうか。ただ古いだけで手直しされていないマンションの売却は難しいでしょう。築30年築40年でも資産価値があるマンションは修繕積立金が潤沢です。

かなり古い話で恐縮ですが、かつて元地主が大規模修繕費用を10年以上滞納し続けたため、滞納費用が2億近くになり、大規模修繕工事が全くなされぬまま築25年を過ぎてボロボロに傷んだマンションを仲介したことがあります。

当然ですが、住む家を探している一般人は見向きもしません。結局、そのマンションは相当安く買い叩かれてリノベーション会社が購入しました。その会社がリノベーションをして付加価値つけて新たなマンションとして売り出すのでしょう。リノベーションによって資産価値は、また蘇ります。

このように中古マンションでは、大規模修繕費用の滞納者が多くないことが重要です。

時代遅れのデザインだと資産価値が下がる可能性も

一般的に、マンションは大規模修繕工事によって適切なメンテナンスを続ければ50年以上は持つはずです。間取りはリフォームで2DKを1LDKに変更したり、トイレやお風呂を取り換えることも可能です

ところが直せないケースもあります。例えばエレベーターがないマンションに新たにエレベーターをつけるとか、80㎡の物件を60㎡にするなど広さを変えることはできません。

2000年代は80㎡を超える新築マンションも多かったですが、現在はそこまで広いマンションはあまりありません。家族の数も昔より少ないことなども原因かもしれませんね。広い分、掃除するポイントも増えます。つまり今は広いから高く売れるというわけではありません。

家の間取りにもトレンドがあります。30年前のマンションは自然光が入らないキッチンもありました。キッチンとリビングが分かれている物件も多かったです。今はリビングダイニングをつなげて広くし自然光が入る明るいリビングダイニングが中心です。

古い家・中古マンションは収納が押入れというところが多いですが、今はクローゼットが人気です。昔はウォークインクローゼットなんて考えられませんでした。収納が多いほど人気です。

間取りも直せますが、直すリノベーション代は必要。今の生活では使い勝手の悪い間取りの中古マンションを売却する際に「リフォーム代分として〇百万円値下げしてくれたら購入する」など買主に言われることもあるかもしれません。

建物の劣化やトレンドの乖離などが売買市場におけるマンションの資産価値を押し下げる原因になるわけです。

中古マンションは築年数何年目で売却するのが正しいの?

それでは一体、資産価値を考えた場合、いつまでにマンションを売却するべきか?市場目線でまとめてみました。

築5年以内

ほぼ新築マンションと時代的乖離もほとんどなく、価格が新築マンションと拮抗するか、あるいは上回ってしまう物件が都内港区の一部などにあります。新築価格を上回るのは一部ですが、かなり新築マンションと近い資産価値のまま売却する事が可能でしょう。

築10年前後

この「10年」が中古マンション市場で最もHOTになる築年数です。ただし新築マンションと比較した場合の割安感が求められ、資産価値も下落します。暮らし方のトレンドもそこまで大きく変わっておらず新築と比べてそれほど遜色ない設備と間取りの中古マンションが多いでしょう。資産価値は落ちるけれど売却はしやすい……それが築10年前後のマンションです。

築15年前後

10年を過ぎると大規模修繕工事を必ず一回やっているはずですから、外壁が元通りの色でなく、居住者と管理組合が話し合って別の色に塗り直す物件もあります。15年前後になると大規模修繕工事の有無によってマンションの資産価値が段々と開いてきます。

また大事なことですが、銀行は住宅ローンの借入期間を法定耐用年数で決めますから、35年ローンを使う場合47年-35年=12年目以降最長35年の借り入れはできません。住宅ローンの借り入れ可能年数が限られることは買主を限定させるので、この点で資産価値は目減りします。

築20年前後

築年数が20年前後となると、上記に述べた通り大規模修繕工事もその中でもかなり大規模な修繕工事は2回、その他のメンテナンスも数回行われているはずです。マンションそのものはまだピンピンしていますが、住宅ローンの借り入れ年数も減りますから、このあたりで資産価値は新築時に比べてかなり目減りするでしょう。

なお、築年数20年目以降は大規模修繕や管理状態等によって買主も物件を厳しく選別するので、資産価値は「管理の良否」や「立地条件」などで大きく差が出てしまいます。

また、家だけではなく街の人気も重要。20年前は人気がなかった北千住や赤羽は「通勤の便がいい」と今は人気があります。

築30年以降

築年数30年以降のマンションで最も大きなポイントは、1981年以降の「新耐震基準」に適合したマンションか否かで扱いが全く違ってきます。「新耐震基準」以前に建てられたマンションは、大規模地震に対し建物が耐えられないと判断されますので、基本的に融資がつきません。

※ただし、新耐震基準以前のマンションでも空室がなかなか出ない人気マンションもあります。

もっとも47年の耐用年数に近ければ借り入れ期間が短くなるため、住宅ローンでなく現金で購入する需要者を見付ける必要があります。そうなると「売りにくい」ことは分かると思います。

このように、「いつまでに」という「期限」めいたものはありませんが、市場に出した時住宅ローンが何年使えるか?新耐震基準を満たしている建物なのか?で資産価値は大きく差が開きます。

また、35年ともなると「建て替え」の話も出てくる頃です。

いつ売るか?と考えるならば「今でしょ?」

中古マンションを高く売るなら10年前後がベスト

「いつまでに」と聞かれた場合、林進先生の決めゼリフ「今でしょ?」と真面目に答えます。

マンションの資産価値は概ね築10年前後からはどんどん下がっていきます。高く売りたければ早いうちに売却すべきです。マンションは住む人がいてこそ価値がありますが、日本の人口も減っています。素敵な家でも住む人の方が少なければ、売れずに家が余っていくでしょう。

「いつか売りたい」「高ければ売りたい」とマンションの売却を少しでもお考えの場合は不動産一括査定サイトで売却価格の見積もりを出してもらうのもいいでしょう。おすすめの不動産査定サイトは3つあります。

1つ目はLIFULL HOME’Sが運営するHOME’Sです。

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3つめはソニー不動産とYahooが共同運営しているおうちダイレクトです。ここが特徴的なのはセルフ売買もできて、もしセルフで買い手が見つかった場合は仲介手数料が0円になること。

マンション売却を考えているものの、何から始めて良いのか分からない方へ
マンション売却の査定をする前に

マンションの売却は一生に一回あるかないかの事です。非常に大きな金額になりますので「なるべく高く早く売りたい」という方は多いと思います。

そのために一番大切な事は「査定」で売却を依頼する不動産会社を見極める事です。ここからはその査定をする前に必ず読んでおいて頂きたいマンション売却20ヶ条をお話します。

マンションを売却する前に必ず読みたい20ヶ条
神林 勝利
不動産鑑定士・宅建取引士。1966年生まれ。早稲田大学社会科学部卒業。野村不動産(株)流通営業部(現・野村不動産アーバンネット株式会社)のリテール向け売買仲介営業マンから不動産鑑定士に転身。独立後約10年間法人経営者として宅建業・鑑定業を営む。法人の営業譲渡後「神林不動産鑑定士事務所」代表として執筆活動や不動産コンサルタントを行っている。