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不動産の売却では、買主の他、売主の仲介会社、買主の仲介会社、金融機関、司法書士など関係する人が多く、それぞれに対応が必要になるのに加え、必要書類の準備ができていないと関係者全員に迷惑をかけることになってしまいます。
いざその時が来たときに必要書類の準備ができていない、ということにならないよう、いつ、どんな書類が必要かを事前に把握しておくことが大切です。本記事では、不動産売却に必要な書類について時系列に分けて解説していきます。
何を準備したらいいか分からない方へ
不動産売却の流れ
本記事では不動産売却を時系列でご紹介し、その時々で必要となる書類についてお伝えします。まず、不動産売却の一般的な流れは以下の通りです。
- 価格査定
- 媒介契約
- 売却活動
- 売買契約
- 残金決済
- 引渡し
以下で、それぞれのタイミングで必要となる書類をお伝えしていきます。
価格査定を受ける前から準備しておきたいこと
不動産売却の流れをご説明する前に、事前に準備しておきたいこととして、境界とローンの問題があります。境界の問題については、以前は境界が確定せずとも売買が行われることも少なくありませんでしたが、昨今の不動産売買ではほとんどの場合で境界を確定してから所有権の移転を行います。
すでに境界が確定されており、測量図があればよいのですが、境界が確定されていないのであれば、隣地の所有者との立ち会いや、目の前の道路が市道や県道であれば、それぞれの担当者(つまり市や県の担当者)との立ち会いが必要になります。境界確定には3~4カ月程かかるのが一般的なので費用も40万円前後、なるべく早く動いておくことが大切です。境界が不明な場合、「土地家屋調査士」に依頼します。自分で探しても構いませんが、不動産屋に紹介してもらうこともできます。
ローンについては、売却する不動産にローンの残債がある場合は、売却代金でローンの残債を完済しなければいけないため、金融機関に連絡して残債を確認しておくようにします。また、ローン完済と同時に抵当権の抹消登記をしないといけないため、「司法書士」に連絡しておきましょう。書類に間違いがあってはいけないため、頼んだ方がいいでしょう。こちらも自分で探すか、不動産屋に紹介してもらうこともできます。
1、価格査定時の必要書類
不動産の売却では、最初に不動産会社に不動産の価格を査定して貰います。価格査定時には、以下の書類を用意しておきましょう。
- 売却する不動産の登記簿謄本と公図・測量図
- 前面道路の登記簿謄本
- 売却する不動産を購入した時の売買契約書
- 売却する不動産を購入した時の重要事項説明書・公図/測量図
- 設計図など各種建築図書
- マンションの場合、管理状況の分かる書類
基本的には、売却しようとする不動産の価格査定がしやすいよう、不動産の情報が分かる書類を準備します。売却した不動産を購入した時の書類一式をまとめておいたものがあれば、それを準備するようにしましょう。また、登記簿謄本や公図・測量図は手元に資料がなければ法務局で取得できます。
2、媒介契約時の必要書類
不動産会社の価格査定を受け、査定価格に納得した不動産会社と媒介契約を締結します。媒介契約時には、以下の書類を用意しておきましょう。
- 本人確認書類(共有者全員分)
- 権利書または登記識別情報
- 価格査定時に用意した書類一式
- 売却不動産に関する設備(エアコンや給湯器)のマニュアルや保証書等
媒介契約時には、間違いなく本人の所有物件であることを確認してもらうため本人確認書類や権利書を用意しておくようにしましょう。また、購入を希望される方に説明するために、給湯器やエアコンなど各種設備のマニュアルや保証書を用意しておくとよいでしょう。
なお、全ての行程で共通することですが、売却する不動産に共有者がいる場合は共有者全員の書類が必要となります。もし、親の家を兄弟姉妹で相続し遠方にいる場合などには必要書類の準備に時間がかかることもあるため、早い段階で連絡を取っておくようにしましょう。
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3、売却活動時の必要書類
媒介契約締結後は、不動産会社が広告活動や案内活動を行います。この段階では得に必要な書類はありません。次以降で必要な書類の準備をしっかり行っておきましょう。
4、売買契約時の必要書類
売却活動の結果、無事に買主が決まったら売買契約を締結します。売買契約締結時には、以下の書類の準備が必要です。
- 本人確認書類
- 媒介契約時に用意した書類一式
- 固定資産税等納税通知書
- 売買契約書に貼り付ける印紙(不動産屋が用意してくれる場合が多い)
- 印鑑
本人確認書類についてはすでに媒介契約時に提示していますが、売買契約時にも再度原本を提示します。固定資産税等納税通知書は、固定資産税のうち買主が負担する額を確認するため用意するのと、所有権移転登記など登記に必要な費用を確認するために必要となります。毎年5月ごろ送付されてくるものですがもし保管をしていなかった場合、「課税明細書」という書類を発行できるので市役所や税務局に問い合わせをしてみましょう。
場合によっては売買契約より前に、買主から確認の連絡がくることもあります。また、買主との間で取り交わした売買契約書には印紙を貼る必要があるため、必要な額を用意しておくようにしましょう。なお、売買契約書に押印する印鑑については特に実印である必要はありません。
5、残金決済時の必要書類
売買契約を締結したら、買主は住宅ローンの審査に入り、ローンの審査の承認が得られ次第決済となります。売却不動産にローンの残債がある場合は、買主のローン決済と同時に売主側のローンの完済と抵当権抹消手続きが必要となります。基本的には司法書士が動いてくれますが、金融機関への連絡を忘れないようにしましょう。この段階では、以下の書類を用意しましょう。
- 本人確認書類
- 実印
- 印鑑証明書
登記にも本人確認書類が必要となります。また、決済時には、売主側は売渡証書の作成や抵当権抹消登記の手続きが必要になり、司法書士にその手続きを依頼するため、実印と印鑑証明書が必要となります。
市役所は平日しか空いていないため、登録していない方は早め早めに印鑑登録を済ませておくようにしましょう。ただし、印鑑証明書の有効期間は発行から3カ月です。
6、引渡し時の必要書類
決済が済んだら、引っ越しを済ませて鍵を引き渡します。以上が不動産売却時の時系列毎の必要書類となります。
不動産売却に必要な書類:まとめ
不動産売却で必要となる書類について、時系列に分けてご説明しました。
基本的には、各段階で媒介を依頼した不動産会社から必要な書類について指示があるかと思いますが、自分でも把握しておくことで必要書類の準備忘れを防ぐことができます。また、準備に時間のかかる書類もあるため早め早めに動いておくようにしましょう。繰り返しになりますが、時間がかかるのは、境界線画定と、遠方の共有者への説明と本人確認書類を揃えることです。
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