買い替えを考えている方のため、ダブルローンを避けるべき3つの理由をまとめました。
ダブルローンは状況次第ではメリットのある方法です。しかし、住宅ローンと二重の返済となることでリスクも高いと言えます。3つの理由を説明致しましたので参考にしてください。

ダブルローンを避けるべき3つの理由

ダブルローンは『厳しい』

不動産は縁物と言われています。今この時に購入の決断をしなければもしかしたら二度と手に入らないかもしれない。現実的に不動産取引の現場ではそういう状況も珍しくはありません。

自宅の住宅ローンは残っているけれど、この物件を逃したくない。そういう思いも当然あるでしょう。
先に購入しても、なんとかすぐに売却できると安易にダブルローンを組む方もいます。

しかし、ダブルローンはできる限り避けた方が無難です。その理由をご説明致します。

ダブルローンを避けた方が良い3つの『厳しい』

【理由その1】ダブルローンは審査が厳しい

契約

ダブルローンの審査はとても通りにくいという理解でまず間違いありません。
そんな不確定な要素を前提に高額資産である不動産の買い替えを行うことは、できるだけ避けるべきと言えるでしょう。

一般的に、住宅ローンを利用して不動産を購入する際、借入上限に近い融資額を借り受けることが多いです。そして住宅ローンは元利均等(がんりきんとう)という返済方法が多く選択されます。返済額は毎月一定ですが、その内訳は、返済当初は利息分の返済が多く次第に元金の返済分が増えて行くという仕組みです。

簡単に言えば、始めのうちは金利分ばかり返して、借りた元金はなかなか減っていないということです。 この元金のことを「住宅ローンの残高」や「残債」(ざんさい)と言います。ダブルローンを組む際の際には、残債の額も審査の対象となります。年齢や収入などから住宅ローンを返済できる金額が計算されます。

仮に、買い替え物件の価格が3000万円だったとしましょう。借入可能額が4000万円だったとしましょう。普通であれば住宅ローンの審査は通りますので購入できます。

しかし、残債が2000万円ある場合には合計で5000万円になるためにダブルローンの審査は通りません。

また、ある程度の年収も必要です。住宅ローンの審査では収入が重要です。ダブルローンでもこの点は全く同じです。

前述の返済額に関してのみならず、不動産を二つ所有することによる費用負担の増加も検討されます。
例えば固定資産税・都市計画税やマンションの場合の管理費修繕積立金やなど。旧宅と新宅の両方とも常にかかってくる維持費用です。

これは年収に比例しない費用ですので、支払額は全く同じでも、仮に年収が500万円の人と1000万円の人とでは収入に対する比率に差があります。ダブルローンの場合は融資額だけではなく、こういった費用についての返済能力も審査の対象となることがあります。

審査が厳しいということは不確定要素にしかなりません。敢えてダブルローンを利用する必要性は低いと言わざるを得ません。

【理由その2】ダブルローンは返済が厳しい

二重に借入をするダブルローンは、当然、返済が厳しくなります。多くの場合、旧宅が売却できるまでの短い期間だけダブルローンで重複返済を行う計画でしょう。

2~3ヶ月から長くても半年程度。なかなか1年もダブルローンを続ける計画を立てている人はいません。計画の段階ではその期間中は何とか返済できると考えていても、実際にその生活になってみると、驚くほどに負担がずっしりと重くなるものです。

特に新宅への引越しに伴う家電や家具などの買い替えのため支出も多くなる時期です。高額になりがちな家財は返済計画の際に計上しておいたとしても、カーテンやカーペットなどの内装や、寝具や日用品や雑貨などは少額のためについつい支出しすぎてしまうことも少なくありません。思った以上に手持ちのお金が減ってしまい、ふと気づけばダブルローンの返済が厳しくなってきます。

また、旧宅の方の住宅ローンが条件変更に伴い金利が上がる可能性もあります。住宅ローンとは自己居住を条件にすることで低金利や長い返済期間、あるいは税制優遇などがあります。新宅を購入したことで旧宅は自己居住ではなくなります。

セカンドハウス扱いとして住宅ローンに比べると高い金利のローンへ借り替えとなることもあるのです。売却までの短期間に賃貸に出して家賃収入を得る訳にもいきません。仮に賃貸に出そうという場合には事前に銀行の承諾が必要ですし、さらにはセカンドハウスよりも高い金利の賃貸住宅用や事業系のローンへの借り替えが条件になることもあります。

賃貸に出すメリットは薄いでしょう。従って、旧宅については住宅ローンの頃よりも高い返済額となると考えておいた方が良いでしょう。毎月の返済に加えて、旧宅の固定資産税・都市計画税やマンションの場合の管理費・修繕積立金やなどがかかることは前述の通りです。

固定資産税等はともかく、管理費・修繕積立金は総会などの決議を経て値上げすることがあります。
そういった支出に加えて、火災保険などの保険、庭木の手入れなど維持管理の費用、細かいところでは町内会費もかかることがあります。

空き家にしておくことで不法侵入や不法投棄、ガラスや壁の破損や落書きの被害もあり得ます。ダブルローンの計画作成時に毎月の返済額をギリギリのラインで計算してしまうと、これらの支払いに対応できない恐れもあります。

【理由その3】売却が厳しい

ダブルローンでは、旧宅の売却がまだ決まっていない場合も多いです。売却全般に言えることですが、買主が見つからないことには予定どころか見込みさえもままなりません。

売却期間は早ければすぐにでも買主が見つかりますが、数ヶ月から1年経っても見つからない場合もあります。そしてやっと買主が見つかって一安心と思ったら、キャンセルやローン流れ(買主のローン審査が通らなかった)などによりぬか喜びで終わってしまうことも。このように売却してダブルローンを返済できるタイミングが不透明という点はとても厳しいところです。

売り急ぎも注意したいところです。ダブルローンにより二重の返済をしているため、1ヶ月でも早く、買主を見つけて売却を完了させたいところです。焦って安く売却をしてしまうことも決して少なくありません。

その反面、売却期間が長引けばそれだけダブルローンの返済が重くのしかかります。損切りという考え方から、安くても売却してしまった方が良いケースもあります。

しかし、予定よりも多く残ってしまった残債を支払うために家計を圧迫し、新宅の住宅ローンの返済にも支障を及ぼしてしまうこともあります。また、安すぎることから銀行からの売却の承諾を得られないというどんでん返しもあり得ます。ダブルローンの支払いがあることにより、冷静な判断をくだせないことも少なくはありません。

最悪のケースとして、売却できない恐れもあります。人気のないエリアや不人気な間取りや建物ということで、買主の需要が著しく低い場合です。需要がなければどんなに安くしてもなかなか売れないものです。何年かかっても売却できない不動産も存在します。ダブルローンの場合にこれは致命的とも言えるでしょう。

さらにやっと見つかった買主でも、売却価格が低ければ銀行が承諾しないこともあります。また、銀行側から最低売却価格を提示されることもあります。それは実際の相場や売却価格を考慮しない、残債額と旧宅の担保能力の評価による、いわば銀行(債権者)側の都合による価格です。

従って、残債額の大きい場合には、不動産会社の査定額よりも大幅に高額ということもあり得ます。
当然、著しく高額の場合には買主はなかなか見つかりません。売りたくても売れないという状況の陥ってしまうのです。

安易にダブルローンを組まない方が無難

3つの『厳しい』をしっかりと把握しましょう

ダブルローンには審査・返済・売却の3つの『厳しい』があります。この3点をクリアできる状況であれば、ダブルローンのメリットが活きてきます。

しかし、なかなかそういう状況にはできないのが現実です。特に返済と売却に関しては取り返しのつかない事態に陥る恐れもあります。安易に二重で返済するような状況にはならない方が無難と言えるでしょう。

マンション売却を考えているものの、何から始めて良いのか分からない方へ
マンション売却の査定をする前に

マンションの売却は一生に一回あるかないかの事です。非常に大きな金額になりますので「なるべく高く早く売りたい」という方は多いと思います。

そのために一番大切な事は「査定」で売却を依頼する不動産会社を見極める事です。ここからはその査定をする前に必ず読んでおいて頂きたいマンション売却20ヶ条をお話します。

マンションを売却する前に必ず読みたい20ヶ条
鈴木 志安
宅建取引士。不動産会社取締役。業歴20年余。他社の業務支援や助言、一般人の賃貸・売買・相続等の不動産相談を引き受ける。法務や税務の知識に加え、人の気持ちも踏まえたアドバイスには定評がある。ライターとしては主に不動産関連のコラム等を執筆。